第1話【♬だーれにも内緒で】初めてのバス釣り【おでかけなのよ♬】

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バス釣り人生
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人はその後の人生を左右するほどに衝撃的な出来事を何度体験できるのだろう?

「神様の仕業だよw」と囁かれればそう納得してしまいそうなあの美しい光景は

きっといつまでもミックさんの脳裏に焼き付いて 決して消えることはないでしょう

回想・・・・・・・・・

当時大学2回生で早くも留年決定(笑)

ミックさんの通う大学は半分専門学校みたいなもんで、その年に取得する単位が足りなければ留年。

んで翌年は単位が取れなかった科目だけ履修するので時間が余りまくる!1日1コマか2コマ、曜日によっては終日フリーの日もあったり。

いちおうバイトもしていたが、確実にシフトが入れられる週末の夜にしかオープンしない店で使ってもらってたので、授業がないからと小遣い稼ぎもできない。

時間はあるけど金のない留年生活。SEGAラリー大学最速の称号を得るほどテレビゲーム三昧の日々を過ごしていたが、ある日フラッと立ち寄った駅前の釣具屋で見つけた『釣竿セット』確か1,980円だったと思う。

※この記事は2016年1月10日に投稿したものを読みやすくリライトしたものです。


ブルーと半透明のプラスチック製道具箱に振り出しのロッド、1000番ぐらいのいかにも安っぽいリールがセットになっているヤツ。

リールにはたしか蛍光イエローの3号ぐらいのラインが巻いてあり、申し訳程度の仕掛けと玉ウキ、あと、疑似餌らしきものがいくつか入っていた。

幼い日から親父(師匠)に連れられ親しんでいた釣りはミックさんには楽しい思い出だった。

コレでお金をかけずに時間つぶしができる!と喜んだのもつかの間。
それまで海のエサ釣りしかしたことがなかったミックさんは淡水での釣りを知らなかった。

淡水魚といえば知っている魚は「フナ」「コイ」といったところか。

ウキに仕掛けつけて何かエサ付けたら釣れるっしょ?!でも、エサって何がいいの?ってレベル(笑)

通学途中にあった全面護岸された池ではミミズを掘ることもできず、護岸のコンクリ壁に腰を下ろして朝食の食パンをかじりながら、それを小さく丸めて練り餌のようにして針につけて諦めかけた頃にウキを引き込むフナを釣っていた。

しばらくはのんびりした時間に満足していたのだが、さすがに1週間も同じ池で釣りをしていると飽きた。

どこか違う魚が釣れる池はないのか学友に聞くと「ブラックバス」という魚が釣れる池があると言う。

ブラックバスという魚は肉食でルアーで釣れるから世間では流行っているらしい。

さっそく教えたもらった池に行ってみると、ほぼ全周廻れる池で、半分は護岸されているが半分は雑木林を挟んで駐車場になっているロケーション。水辺に立てば自然のままと思える。

いつものように食パンをつけて仕掛けを垂らしてもなんのアタリもない。

土を掘ってミミズを捕まえてエサにするとすぐアタリがあった。

アワわせてみると15センチほどの見慣れぬ魚が掛かっていた。

後で知ったがブルーギルと言うらしい。

色が鮮やかで(ちょっと気持ち悪いヤツだな)と思ったのを覚えている。

もう1回ミミズをエサに仕掛けを垂らすとまたすぐにアタリが。

今度も見慣れぬ20センチほどの魚。セイゴに似ている。そうブラックバスだった。

『これが…』

ミックさん人生初のブラックバスは正直まったく感動しなかった。何の苦労もなくアッサリ釣れてしまったんだから。

むしろ、ブラックバスの事を教えてくれた学友の言葉が引っかかってモヤモヤしていた。

『ルアーで釣れる』

ルアーって、疑似餌のことだよな?もしかしてルアーで釣ってみたかったのかな、俺。

道具箱にルアーらしきものが入っていたことを思い出し、フタを開ける。

この金属に3本針が付いてるのってルアーじゃないのかな・・・?

当時のミックさんはスプーンも知らなかった(笑)

たしか10グラムほどの紅白に塗り分けられたスプーンでトレブルフック仕様。

使い方もわからんが、釣りのセンスには根拠のない自信があったミックさんはおめでたい紅白のおそらくルアーであろう金属を使ってみることにした。

まずはラインに結んで足元で動きをチェックしてみる。

(コレ自体は沈むのな)

竿を横に引いて足元を泳がせてみると紅白の面と金属色が交互に入れ替わりキラキラした。

(このヒラヒラするのがいいのかもしれん)

その特徴ではじき出したこのルアーの使い方は

( …投げて…巻く! 

正解(。・ω・)ノ☆ピンポーン☆ヽ(・ω・。)

当時の思考回路があながち間違っていなかったのは面白い。

とはいえその時は「こんなモンで魚が釣れるんかいな?」と半信半疑…どころか全く釣れる気がしないまま、まずは1回投げてみた。

スピニングタックルに10グラムスプーン、かなりの飛距離。池の真ん中あたりまで飛んで行った。

勝手に沈むヤツなので、根掛かりしないように着水してすぐにベールを戻し早めにハンドルを回した。

5回転ほどハンドルを回しただろうか?

『ガンッ!』

何かに引っかかった衝撃とともにリールが全く巻けなくなった。

(あっ!・・・・根掛かりε-(‐ω‐;)ヤッテモウタ)

1投目で根掛かってしまった事に軽く凹みつつも、何とか外れないかと強引に引っ張ったり緩めたり、竿を左右に振ったりした。

ブンブン!

・・・・・・・・。

ぐいっ!ぐいっ!

・・・・・・・。

「ぐんぐん」

??????????????????

「ぐん!ぐん!ぐん!」

なんか、サカナ????!えッ!?

次の瞬間!

20メートルほど離れた池の真ん中で、夕日を反射し金色に輝く水面からその身を飛び出して首を振る大きなサカナと、口元から弾き飛ばされていく小さなスプーンが目に焼きついた。

初めて見たその衝撃的な、そして信じられないほど美しい光景にしばらく呆然としていた。

何が起こったのかよく理解できないが、心臓がありえないぐらいバクバクしていた。

そう、根掛かりだと思った『ガンッ!』という衝撃は、ブラックバスがルアーをひったくった衝撃だったのだ!

しっかりとアワセていなかったのでエラ洗い一発でバレてしまったが

なんとも幸運なことに、人生で初めて投げたルアーの第1投目でバスがヒットしてしまったのだった。

・・・・どれだけ時間が経っただろうか。

「さっきのは夢だったのかな…」と疑ってしまう程の美しい光景にしばらく動くこともできなかったが

太陽が傾き寝床に帰ろうとする鳥達の鳴き声でふと我に返ったら、左手に握った竿からはラインが伸びたままになっていた。

「そっか、夢じゃなかったんだな」

投げっぱなしだったルアーを回収しようとリールを巻こうとしたら、今度は本当に根掛かりしていた。

結局人生初のブラックバスを釣ったルアーは1投目でロストしたw

その日はそこで竿を仕舞い、帰りの足で釣具屋に寄り3,000円程の2ピースのルアー用スピニングタックルと小さなルアーセットを買った。

ここからミックさんのバス釣り人生が始まったのです(続)

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